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1983年　谷川岳一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁ディレッティシマ冬季初登攀

夏はけっこう快適なフリークライミングが行える登攀ルートである。フリー化しながら登った（�Y、A0）が、最後の草付き交じりの簡単なフェースでボルト２本分、わずか２メートルほどだが、草つきの処理が面倒くさくなってフリー化を残した。あとでその部分をフリー化した登攀記録を見ると、グレードは�X＋だった。ほかのピッチよりはるかに易しかったのだから面倒くさがらずにフリー化しとけばよかったのだろうが、一ノ倉岳の頂上での待ち合わせ時間が迫っていたし、またくりゃいいやと思って先を急いだ。ディレッティシマは夏はオールフリーで登れるルートであるうえ登攀距離が長い。冬は何をかいわんやであるが、かなり厳しい。まだ冬季初登攀のみの記録しかないのが惜しい。登り応えがある好ルートだ。

この年、再び年間の山行の獲得点数が第１位になったが、これ以後は点数を数えること自体を止めた。獲得点数は正会員認定のための基準に過ぎないので、正会員にとっては獲得した点数がいくらになろうとあまり意味がない。賞も副賞ももらえないし……。

1984年　谷川岳一ノ倉沢・コップ状岩壁右岩壁左カンテ冬季第３登
谷川岳一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁南稜フランケダイレクト冬季登攀

谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁に拓かれたルートはみな難しくて面白い。穂高のパチンコ（継続登攀）を終えたばかりだというのに、烏帽子沢奥壁の登攀ルートに登りに行きたくなるくらいだったから、お気に入り加減は相当なものである。この烏帽子沢奥壁の、南稜フランケダイレクトクラスの登攀ルートまでだったら冬季登攀のガイドをしてもいい、と思っている。このルートは下部だけでも３回登った。南稜フランケや烏帽子ダイレクトの下部３ピッチも３回登った。あまりに回数が増えると、登り方がいい加減になるし、面白さが感じられなくなる。そんなことなら夏も冬も登ったことがないルートを登りに行った方が楽しい。ホールドを覚えてしまってはつまらないのは夏も冬も同じだ。ホールドを覚えればスムーズに登れるが、やはり楽しいのはオンサイトに尽きる。登攀の面白さはなんと言ってもルートファインディングにあるのだから。南稜フランケダイレクトは、烏帽子沢奥壁左半分に拓かれたルートの中ではいちばんやさしいルートだ。

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