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社会人山岳会・山学同志会で行っていた山行とガイド山行との間の登山方法や登山形態にそれほど大きな差があるわけではない。谷川岳一ノ倉沢の南稜に入会したての新人を連れて登りに行くのに、その新人にとって必要と判断したところではいつもロープを出していたからだけど、ガイドを始めて大きく変わったのはショートローピング技術を多用することになった点である。つまりクライアントの歩行が不安定に思えたら、バリエーションルートはもちろんのこと、たとえ一般ルートであっても、ロープを結び合って歩くことが多くなったという点である。ロープを結び合うというと岩登りを想像するかも知れないが、岩登りでロープを結び合うのは当然のことで、それだけではなく、沢登りでも、雪山登山でも、無雪期の縦走でも結び合うということである。

一般的に考えると、ロープを結び合うということは、その先に繋がっているパートナーなりクライアントなりの命を預かるということである。ロープを結んだが最後、相手に何か事が起きたときには自分にもその力が降りかかってくるということである。だから、ロープを結んだが最後、いいかげんなことはできない。相手が落ちたときは絶対に食い止めなければならない。そうしないと自分自身も巻き込まれてしまう恐れが大きいのだ。その恐れをいやがってロープをつけない山岳ガイドは、実際にたくさんいる。しかし、必要なところでロープを使わないのは山岳ガイドあるいはガイド山行とはいえないだろう。もし必要な場所でロープを使わないのならそれはただの道案内にすぎない。結果的にロープを使わないことはあるが、ガイド自身が、あるいはクライアント自身が不安に思ったらロープを使う。だからロープはどんなガイド山行にも持っていく。そして、だからこそ連れて行ける人数も限られてくる。ただの道案内なら危険な場所でも大勢の人を連れて行くことができるが、それはやりたくはない。遭難事故が起きる可能性が高くなるのは誰よりも自分自身がいちばんよくわかっているからだ。

実際の登山でロープを使うのは岩場に限られていることが多い。山学同志会の登山では一般縦走路でロープを使った記憶はない。でもガイド山行では頻繁にロープを使う。実際、岩稜だけではなく、夏道の広い尾根で使ったこともある。それは風が強くてクライアントの歩行に不安があったからだが、不安があればロープを繋いだ方が山岳ガイドの僕としては安心できるのだ。他人の眼を気にすれば、夏道の広い尾根でロープを使うというのはクライアントにとっては恥ずかしいことかもしれない。でもガイドがクライアントの命を守るというのはそういうことだ。また、クライアント自身も安全で楽しい山行を行うために、また命を守って欲しいがためにガイド山行を選んだのではないのだろうか。もしそうなら恥ずかしがる要素は一つもない。

個人の力とパーティーの力ということについて考えたことがあるだろうか。たとえば、前記の谷川岳一ノ倉沢の南稜の登攀を例にとると、ソロで登れば15分もあれば登攀が終わるが、同じレベルの人間ならロープを使っても30分もあれば登攀が終わってしまう。たとえ新人を連れて行っても1時間もあればたいがい終わってしまう。自分が登るのは高だか15分だから丸々45分は新人が使って登ることができる時間ということになる。新人を2人連れて行ったところで時間がそう大きく狂うことはない。たとえ新人が2人であってもその2人は同時に登攀をすることができるからだ。そして彼らはそれぞれ1本のロープで直接確保されることになる。連れて行く人数が3人になるとパートナーなりクライアントなりの確保能力が問われることになる。中には1本のロープの末端に2人をくっつける人もいるが、安定したホールドが多い稜ならまだ話がわからないでもないが壁の場合はそれではまずいだろう。この場合、1人のクライアントの墜落は間違いなくもう1人のクライアントを引きずりこむ。基本的に壁ではロープ1本に1人、連れて行く人数は2人である。3人の場合はよほど技術が信頼できる場合に限られ、4人を連れて行くことはまったくない。そんな山行はこちらからお断りである。

これらは登攀について言えることだ。歩く場合は1本のロープに複数のクライアントをつなぐことがあるが、行動はどうしても力が弱い方の動きに集約されていくことになる。この場合は如何に新人やクライアントを疲れさせないように歩いていくかが時間を縮める勝負の分かれ道になる。個人という点で考えれば簡単に行動の予想がつくが、パーティーとなるとちょっとややこしくなる。しかし、そんなことを考えながら行動するのは面白い。如何に安全に早く終わらせるかというのがリーダーやガイドの務めでもあるからだ。新人やクライアントに大きな負担をかけずに登る方法を考え、実践するのは面白いものである。山登りには普通では思いつかないそんな魅力もある。

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Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)……海外の山も 低山から高山までさまざまなところへ登りに出かけました
しぶとい山ヤになるために=山岳雑誌「岳人」に好評連載中
……登山開始から山学同志会在籍一年目までの山行で学んだこと感じたこと

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