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雑感・冬 10
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この週末はというか、この雨のあと週末にかけて今冬いちばんクラスの寒気が入ってくることになっている。中心は−42度の寒気だからなかなか強い。しかし、寒気がどこまで南下するかが問題である。先週の春のような暖かさが気になるところだが、ちゃんと凍っているのだろうな。今年は水溜りやバケツにできる氷の厚さが薄く、なかなか厚いものを見ない。いずれは北海道だけしか氷ができなくなるなんてことが現実になってしまうのじゃあんめえ。今日のこの雨は奥多摩の稜線に雪をもたらすことだろうが、そのあとに吹き込む寒気ができのいい氷を作ることを祈る。できの悪い天然氷しかないようなら、いい氷を求めて大谷不動にいくというのもいい手かもしれないな。そいつもちょいと頭に入れておこう。
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デナリの店長オースケがチューンナップしたナジャを米子不動に行ったときに使ってみたが、それなりによくなっていた。ピックは溶接にうん千円かかったというクォークのピックでハンドレストはグリベル。これでシャフトがもう少しベントできれば言うことはないのだが、それをピックのねじ穴で調節しているのだがなかなかよく考えられている。それでも昔のままのナジャとはまったく違って格段に登りやすくなっていた。各種アックスをチューンナップして欲しいという方がいれば、希望を添えてぜひ四谷駅前の「山の店デナリ」でご相談を。これはアックスでお悩みの人々に対しておくる僕からのまじめなアドバイスです。僕のクォークのピックを磨いてもらおう。
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知らないうちに力がついてくる――。これってすごく大切なことのように思う。山学同志会に入った一年目はまさにそんな感じだった。もちろん走ったり懸垂したりといったトレーニングはトレーニングとして別にやって はいたけど、山が好きでがむしゃらに登りに行ってたらすごくうまくなったし、強くなったって感じだった。無理して登ったという記憶はまったくない。いっぱい歩いたし、いっぱい登った。そのせいか今でも必要なら休みなく登るし、歩く。こんな山行をしていると本当に知らないうちに強くなる。
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走るといえば、僕はこのところ走ったことがない。このところというのは、最後に10キロ超を走ったのが1987年のことだから今から22年前のことである。つまり、この22年間ほとんど走っていないのである。僕には足に障害があるから、走ると逆に負担が大きくなるのだ。だから走らないのだけど、それでも山に行くことはできるのだから何をかいわんやである。まあ、無理することはぜんぜんない――。僕はそう思う。何も走らなくても心肺機能は鍛えることができるのだから。
僕と同じように足の指を失っている山野井夫妻は二人とも僕よりは本数も残っているし、切断部が短く、長めに残っているから走ることができるそうだ。走っている途中でクマに襲われたのが山野井泰史さんであった。走れるというのはうらやましいことだが、山は走らなくても登ることができるのだ。それが証拠にいままで走らなかったから登れなかったというのは経験がない。走れば足にかかる負担が大きくなるから僕にとっては走らない方がいいのだ。だけど僕も時々走りたくなることがある。
だいたいこれだけ長期間走っていなくて、突然長距離を走ろうとすると問題が起きるだろう。それを考えると、今後も僕が走る可能性はきわめて小さい。走ったとしても一キロとか二キロ。このくらいならたまに走ることがある。もちろん土のグラウンドでの話だけど、僕が走ってもせいぜいそんなものだ。山では走る必要はないからそれで困ったことはない。だけど歩くのは速い。でも、これって山の中だけの話ね。都会ではぜんぜんだめ。足が痛くて根性がでない。アスファルトやコンクリートと林道は大嫌いだ。
普通の人と比べたら山の中ではよほど速く歩くことができるし、ラッセルだって長くすることができる。「俺さあ、腰が悪いからラッセルを変わってくれる」と僕よりはるかに若い人に言ったら、木本さん速過ぎてついていけませんって言われたことがある。しようがなくてそのままラッセルを続けて登ったけど大変だった。腰が悪かったからゆっくり登ったんだけどね。ダウラギリ登山での話だけど変だよね。人間の体は不思議だ。
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昔よく広瀬神社で遊んだ。石垣を登ったり、マストのワイヤーで遊んだり、裏山に入って遊んだり。とにかく僕の遊び場の一つだった。子どものころは広瀬中佐が軍神だってことは分かっていたけど、どうして人間が神様として崇められるのかがわからなかった。今年、NHKで『坂の上の雲』をやるからちょっとした観光地になるかもしれない。そういえば『坂の上の雲』はいつから放送するんだろう。
広瀬神社のすぐ下というか脇が、隣がが岡神社で、その下のトンネルの脇の石垣には湧き水があって、石垣の間にサワガニがたくさん潜んでいた。そこでピーピー草(スズメノテッポウ)を取ってきてサワガニがその穂を挟むからそっと引っ張っておびき出し、捕まえていたのだけど、トンネルがきれいになって、やがてそんな遊びができなくなった。竹田市は湧き水の町だ。そんなわけでそこここに湧き水があって遊びに出かけても水には困らなかった。昔から野生児だった……。
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芦安と日向山――。あるいは芦安三昧。条件がよければそれでもいいが、氷が甘かったら日向山に行くか。あるいは最初から大谷不動にするか。どうせ登るならたくさん登りたいというのが僕の性格だから待ちがなくて登れるところに行かなきゃ話にならない。
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この暖かさは不安になる暖かさだ。高所では氷が発達する暖かさだけど……。近くの紅梅に花がついてた。花が咲くのがちょいと早すぎやしないかと思うのだが、いつもこんなに早く咲いていたっけか。早いには早いけど咲くのは2月だった気がする。このまま春の陽気になるのではないだろうな、と心配になる。大相撲、朝青龍は13勝、白鵬は12勝1敗。やんちゃ坊主はなかなかやる。面白いなあ。ところで、この気温が気になって各地の気温を調べて見ると、低所では氷柱がぶっ壊れるくらいの暖かさになっていた。明日は寒気が入り、びしっと凍るが、今日はがれていたらだめだな。週中は天気も落ち着いていい感じだろう。
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EBシューズでハードフリーに手を染めた人間のうち何人ほどが今も登っているのだろう。EBシューズのソールは硬かった。一昔どころかもう三昔も前のことになる。最近のクライミングシューズと比べれば体感グレードがぜんぜん違うよな。昔の人はエラかった。月日の立つのは早いものだ。ふとフリースピリッツがフリー化されたころのことを考えたのだが、その当時のクライミングシューズはEBシューズだよな。靴のせいでグレードが下がっていくなんて想像できなかったよなあ。でもそのクライミングシューズのソールの進化のおかげで僕の足でも高グレードがごまかして登れるようになったのだからなにをかいわんやだけど。当時のグレードは5.10a、今では5.8だよ。でも5.9くらいにしておいた方がいいんじゃないか。
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近所でも早咲きの紅梅が咲いていることに気づいてみると、あちこちで梅の花を見かける。紅梅どころか白梅が咲いているところもある。日向の暖気がたまるような場所では梅の花が咲くのも早いが、こうまで早くはないはずだ。2月〜4月の長期予報は暖かめと伝えていたような気がする。天気のことだからなんともいえないが、今日から寒気が入る予報だ。今日はアイスクライミングだが、明日はロッククライミングだ。寒いかも知れないが、青梅でこんな具合だから湯河原は梅がだいぶ咲いているかもしれない。こんな感じでも梅郷まで行くと花なんか咲いていないのが普通なんだけど、もし咲いていたら驚きだ。まあ咲いていないだろう。
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