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ハイビジョン特集「白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻」 <NHKBShi(BS-9チャンネル)>
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BSハイビジョンの放送日時が決まりました。見られる環境にある方はぜひご覧ください。 再々放送もご案内いたします。
★ハイビジョン特集「白夜の大岩壁に挑む 〜クライマー山野井夫妻〜」
NHKBShi(BS-9チャンネル)
[本]2007年11月18日(日)19:00〜20:49(109分)
[再]2007年11月26日(月)14:00〜15:49(109分)
[再々]2008年1月31日(木)10:00〜11:49(109分)本年、2007年8月に収録したグリーンランドの未踏峰の登攀行がNHKBSハイビジョン放送(BS-9)のハイビジョン特集の一つとして11月18日に放送されることになりました。放送内容はNHKのHPによると下記のようになっています(紹介したものは再放送時の内容について書かれています)。どんな映像や音声で綴られているのかわかりませんが、僕が撮影にかかわった山の番組です。
ハイビジョン特集「白夜の大岩壁に挑む〜クライマー山野井夫妻〜」
チャンネル :BShi 放送日 :2007年11月26日(月) 放送時間 :午後2:00〜午後3:50(110分) ジャンル :ドキュメンタリー/教養>ドキュメンタリー全般
:BShi 世界最強と称された登山家・山野井泰史、日本人女性クライマーの第一人者・妻の妙子。致命的なケガから5年、2人がグリーンランド・未踏峰の大岩壁に挑んだ姿を記録した。 :午後2:00〜午後3:50(110分) 世界最強と称された登山家・山野井泰史、日本人女性クライマーの第一人者・妻の妙子。致命的なけがから5年、2人がグリーンランドにある未踏峰の大岩壁に挑んだ姿を記録した。 登山家…山野井泰史, 山野井妙子, プロの山岳ガイド…木本 哲 山野井泰史・妙子プロフィール 木本哲プロフィール Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)
木本哲の映像製作の世界
大岩盤に再起をかける 〜登山家・山野井夫妻の挑戦〜
<BShi 11月18日(日) 午後7:00〜8:50>2000年K2の難ルートを無酸素単独で初登攀に成功、世界最強と称された山野井泰史(42)、そして日本人女性クライマーの第一人者・妻の妙子(51)。2002年ふたりはヒマラヤの高峰ギャチュンカンに挑戦、下山途中雪崩に襲われた2人は、手足の指をほとんど失い、致命的なダメージを負った。
それから5年、ふたりは失意の中で、残った身体機能を最大限に活かそうとリハビリを繰り返す雌伏の日々を送ってきた。そして、今年8月、山野井夫妻は極北の大岩壁に挑み再起を期する。目指すは、北極圏に位置し夏でも氷に覆われるグリーンランド、標高差およそ1300mの巨大岩壁を擁する未踏峰の山である。先頭は泰史、そこから降ろされるロープを確保し、泰史の墜落を防ぐのが妻の妙子である。
落石・スノーシャワー(NHKHPの内容をそのまま掲載しています。実際には岩壁に雪はなく、したがってスノーシャワーが降りかかることはありません)・雪崩そして刻々と変化する天候の中、指を失った山野井は、岩場の多い今回のルートで果たして細かいクラックやフェイスを登り切れるのだろうか。絶えず下から夫の姿を見る妙子は大岩壁に身を置いて何を思うのか。
番組では、「より高く、より困難に」挑み続けてきた山野井泰史・妙子のクライマー夫妻の山にかけてきた半生と、そして今、「再びふたりで登る」ことで、自分たちの限界に挑み続ける夫妻の復活の姿を、グリーンランドでの登攀を通して見つめていく。
音楽……五木田岳彦
語り……加賀美幸子
[補足]山野井夫妻の凍傷について
山野井夫妻が凍傷になり、指を失った年代はギャチュンカンでのこことお思いになるかもしれませんが、実際のところ、指を失った年代は夫婦で異なります。
妻・山野井妙子さんが凍傷になったのは夫・山野井泰史さんより早く、1991年マカルー(8463m)登山時のことです。このときはまだ長尾妙子と名乗っていたときで、マカルー登頂後の帰路、高所でビバークすることになり、仲間の死を看取り、自らは凍傷を負ったのでした。両手足や顔に負った凍傷の傷は深く、両手足の指は切断を余儀なくされ、ことに両方の手はすべての指を切断することになりました。このときは鼻も重度の凍傷になり、回復手術が必要でした。ギャチュンカンの遭難など、度重なる凍傷受傷で手の指はさらに短くなりはしましたが、両手足の現状はマカルー登山時に定まったといっても過言ではありません。
一方、夫・山野井泰史さんが凍傷になり、指を失ったのは2002年ギャチュンカン(7952m)北壁登攀時のことです。これによって夫・山野井泰史さんは初めて手足の指を失ったのでした。したがって、2人の障害者としての歴史には大きな差があります。「妙子は冬になると手足が冷たいと言っていたけど、その気持ちは自分が手足の指を切断するまでわからなかった」とかつて山野井泰史は僕に語っていました。僕たち3人は健常者では感じることがないだろうというハンデを持っていることは確かです。
凍傷受傷後の世界
傍から見ていると凍傷に対する受け止め方は2人の間に大きな差が見られますが、彼らより一足先に凍傷の深手を負った僕は凍傷による障害が普段の生活や登山にどういう影響を与えているのか、彼らはそれをどう捉え、どう対処し、どう乗り越えているのかというところに興味を持っていました。
ギャチュンカン登攀後、入院した病院にお見舞いに行ったとき、再起を急ぐ山野井泰史さんに、入院しているときより退院してからの方が大変なんだという話をしたのですが、彼はその言葉が持つ意味が理解できないようでした。でも、今はそれを理解していることと思います。
凍傷による傷が登山に及ぼす影響は計り知れないものがあります。いうなればこれによって過去の登山・登攀記録はリセットされます。過去にいくら厳しい登山や登攀をしていようと、その基となる体の構造が違うので切断後は当然登山や登攀も別物です。栄光に包まれた過去の自分とは違う新たな自分が不自由な体をどう克服して山や壁に挑むのかは見ものです。僕自身がそういう経緯を経てきていますので心底そう思います。
今回の登攀の模様に関しては、山野井夫妻と木本哲という1985年にエベレストで凍傷を負ったもう一人の身体障害者を含めた障害者3人が未踏の大岩壁に挑んだ記録ということもできます。実際のところ3人で60本必要な正常な手足の指は3人で23本しかありません。この放送をご覧になる方がこの番組から何を得るかわかりませんが、そんなことを踏まえてご覧になるると興味が増すかもしれません。
3人とも凍傷で手足を切断している以上は何がしかの不自由を抱えています。それをどう克服し、どう登るかはおそらくこの番組の見所の一つになるでしょう。試写を見ていれば何らかのコメントができるかもしれませんが、残念ながらまだ出来上がっていませんし、また今のところそれを見れる状況にはありませんのでコメントのしようがありません。
編集はようやく最終段階を迎えたところだと思います。はてさてディレクターがどんな筋立てを用意しているのか僕も興味津々といったところです。
内容
内容は山を舞台にした夫婦の物語ということだそうです。試写の評判は上々のようです。放送をご覧になりましたらご感想をお聞かせください。
映像
僕が製作に関与した前作「極北の大岩壁」と同様、「白夜の大岩壁」の撮影は初めから衛星放送の<ハイビジョン特集>と地上波の<NHKスペシャル>でそれぞれ一本ずつ、合計二本の番組を作る計画で行われました。放送時間枠は109分と59分というふうに大きく異なります。限られた放送時間枠のため、二つの番組は視点や内容が多少異なる作りになるのは否めませんが、編集の妙は放送時間の長短の差を意識させない新たな作品を見せてくれることと思います。
僕はクライマーとして登攀に関わり、山岳ガイドとして安全管理に関わり、また撮影スタッフの一員としてこの企画やビデオ撮影に関わりました。クライミングチームの一員としてオルカにルートを開拓し、プロの山岳ガイドとして皆の安全を確保しつつ、撮影チームのスタッフの一員としてビデオカメラを回し、編集に耐えうる映像を撮ってくる。僕の肩にのしかかってくるプレッシャーはけっこう大きなものですが、「極北の大岩壁」以来となる僻地でのクライミングに我を殺して挑む――。考えてみればそんな辛いクライミングでしたが、映像はなかなかいいものが撮れています。僕を含めたカメラマン四人の撮った映像が、お茶の間に、今まさに目の前で白夜の大岩壁を登攀しているような臨場感を与えることと確信しています。グリーンランドの無人島ミルネ島の未踏峰“オルカ”の未踏の岩壁で展開したクライミングの映像を思う存分に楽しんでいただければ幸いです。
撮影スタッフは、僕を含め、バフィン島ウォーカー・シタデルのクライミングを扱った前作「極北の大岩壁」撮影時とほぼ同じ陣容です。しかし、カメラマンが一人交代し、今回はあらたに音声のスタッフが一人加わっています。カメラマンに関して言えばNHK山岳班と山岳班の山岳研修講師でもある僕の意地をかけた映像と言えるのかもしれません。撮影チームばかりではなく、構成を考えるPD、登攀中の音の収録に力を振るった音声、場所をアレンジしたコーディネーター、国内で作業した編集や音楽や番組のナレーションを担当した方々も含め、この番組の製作に携わった人たちの思いをこめた渾身の力作になっていることと思います。ぜひご覧ください。
今思い返すと、いい番組を作りたい――。僕自身がそういう思いでこの岩壁を登っていたのだということをひしひしと感じます。何がすごいといってこれほどすごい番組製作チームはないでしょう。実際に装備食料の荷上げまで手伝って直接撮影に関わった方々はもちろん、裏方で製作に当たった方々のためにも前作同様何か国際的な賞が取れるといいと思います。賞は番組作りを支えたそうした影の功労者のためにあるのだと思えます。
関連本:番組取材記1月31日発売
「白夜の大岩壁に挑む 〜クライマー山野井夫妻〜」/NHK取材班/1680円(税込)/(NHK出版)映像を編集するに当たって僕は今回の登攀ルートのルート図を書いたのですが、そのルート図は山野井泰史さんの修正意見も加えてこの本に掲載する予定です。山野井ファンには必見の本だと思います。「木本さんのこともたくさん書いた」という話ですが、どんなことが書かれているのか内容まではわかりません。いずれこの作品のDVDも売り出されることと思います。楽しみにしていてください。
NHKスペシャル(夫婦で挑んだ白夜の大岩壁) グリーンランド・白夜の大岩壁<オルカ初登頂> メール contact
山野井泰史・妙子プロフィール 木本哲プロフィール
「白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻」の内容を補完する資料
しぶとい山ヤになるために=山岳雑誌「岳人」に好評連載中自己紹介(木本哲登山および登攀歴)
木本哲プロフィール(「白夜の大岩壁・オルカ初登頂」のページから)
僕のビッグ・ウォール・クライミング小史
Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)
Greenland=東海岸の岩場について情報をお持ちでしたらお寄せください。ご意見もこちらで承ります。
このテーマの一般公開は終了しています。現在は下記青太字ページのみ公開しています。関連本はNHK出版から1月31日発売予定。
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