Explorer Spirit 木本哲の世界 白夜の大岩壁 アルパインガイド アルパインクライマー Satoshi Kimoto's World
木本哲のホームページ“Explorer Spirit”へようこそ / Welcome to Kimoto Satoshi's website “Explorer Spirit”
ハイビジョン特集「白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻」 <NHKBShi(BS-9チャンネル)>
個人的なつながりから今回の登山を応援していただきました。ありがとうございます。バナーをクリックすれば各社のHPにつながります。
NHKBShi(BS-9チャンネル)のハイビジョン特集で『白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻』と題して衛星放送で先行して放送されたグリーンランドの未踏峰<オルカ>の登攀行の番組が再編集され、2008年1月7日(月)NHK総合のNHKスペシャルで『夫婦で挑んだ白夜の大岩壁』と題して放送されます。NHKスペシャルのHPを覗くと下記のような説明文があります。扉写真は僕が撮ったものが使われています。
2008年1月7日(月) 午後10時00分〜10時59分
総合テレビ
夫婦で挑んだ 白夜の大岩壁
凍傷で指を失った登山家夫婦が、この夏、北極圏・グリーンランドにある、高さ1300メートルの未踏の大岩壁に挑んだ―
1994年ヒマラヤ、チョー・オユー(8201メートル)の難ルートを無酸素単独で初登攀に成功、世界最強と称された山野井泰史さん(42)、そして、妻の妙子さん(51)。
2002年秋、二人はヒマラヤの高峰ギャチュンカン(7952メートル)に挑戦した。下山途中、雪崩に襲われた二人は、生死の境をさまよいながら、奇跡の生還を果たした。しかし、凍傷で泰史さんは10本、妙子さんは18本もの手足の指を失い、クライマーとして致命的なダメージを負った。
それから5年、二人は残った身体機能を使い、リハビリとトレーニングを続けながら、クライミングへの夢を追い続けてきた。
そして、今年8月、二人は北極圏・グリーンランドにある、高さ1300mの未踏の大岩壁「オルカ」に挑んだ。様々な困難を前に、二人はどんな登攀を行ったのか。「より高く、より困難に」挑み続けてきた山野井泰史・妙子のクライマー夫妻が今、「再びふたりで登る」ことで、自分たちの限界に挑み続ける姿を余すことなく記録したドキュメンタリー。
登山家夫婦 未踏の大岩壁
2008年10月20日(月) 午後10時00分〜10時59分
総合テレビ
第34回放送文化基金賞 番組部門
テレビドキュメンタリー番組本賞受賞
アンコール放送 夫婦で挑んだ 白夜の大岩壁写真説明
扉 ヘッドウォール基部2ピッチ目をリードして登る山野井泰史。
三段組の写真上から順に
上 登攀ルートを話し合う木本哲(左・青いMountain Equipmentの軽羽毛服にミレーの帽子をかぶった人)と山野井泰史。
中 オルカと名づけた岩山の全容、氷河上流から見る。
下 クライマー山野井泰史。 ヘッドウォール基部2ピッチ目、扉写真より少し先に進んだ地点で。2008.1.7 22:00〜22:59
NHKスペシャル
「夫婦で挑んだ白夜の大岩壁」
語り……俳優 上川隆也
音楽……五木田岳彦
白夜の北極圏・高さ1300mの大岩壁に挑む伝説のクライマー夫婦 指を失った手足で挑戦 墜落の恐怖*
<オルカ>と名づけたグリーンランドの未踏峰の未踏の岩壁の初登攀に挑むクライマーがそれまでの登山で失った手足の指は3人合わせて合計38本。決して尋常な数ではないが、それが現実だ。実のところ未踏の岩壁に挑む3人のクライマーは3人とも障害者である。手足の指を失うというのは登山者やクライマーにとってはかなり大きな痛手である。しかし、そんなことをいつまでもくよくよしていったてはじまらない。指がなければないで自分たちにもできる何らかの方法を考えだせばいいことだ。冒険というのはそういう創意工夫をめぐらして遠くにあるものを追い求め、手元に引き寄せる高尚な遊びである。今は辛いばかりの人生もいつか落ち着いて振り返ってみればきっと楽しく思い返すことができるに違いない。そのときにはおそらく自分の人生は山あり谷ありの過酷な冒険だったと笑顔で話ができるだろう。苦しいときにこそ創意工夫を凝らす――。それにはまずはあるがままの自分自身を素直に受け入れ、少しずつ考え方を変えていくのがいい。僕はそうやって絶望の淵から這い上がり、大きな岩壁に挑み続けてきた。
*
僕が製作に関与した前作「極北の大岩壁」と同様、「白夜の大岩壁」の撮影は初めから衛星放送の<ハイビジョン特集>と地上波の<NHKスペシャル>でそれぞれ一本ずつ、合計二本の番組を作る計画で行われました。放送時間枠は今回は109分と59分というふうに大きく異なります。限られた放送時間枠のため、二つの番組は視点や内容が多少異なる作りになるのは否めませんが、編集の妙は放送時間の長短の差を意識させない新たな作品を見せてくれることと思います。ナレーションは「白夜の大岩壁に挑む」のときとは違って上川降也が担当するそうです。
僕はクライマーとして、プロの山岳ガイドとして、また撮影スタッフとしてこの企画に参加しました。クライミングチームの一員としてオルカにルートを開拓し、プロの山岳ガイドとして皆の安全を確保しつつ、撮影チームのスタッフの一員としてビデオカメラを回し、編集に耐えうる映像を撮ってくる。僕の肩にのしかかってくるプレッシャーはけっこう大きなものですが、「極北の大岩壁」以来となる僻地でのクライミングに我を殺して挑む――。考えてみればそんな辛いクライミングでしたが、映像はなかなかいいものが撮れています。僕を含めたカメラマン四人の撮った映像が、お茶の間に、今まさに目の前で白夜の大岩壁を登攀しているような臨場感を与えることと思います。グリーンランドの無人島ミルネランドの未踏峰“オルカ”の未踏の岩壁で展開したクライミングの映像を思う存分に楽しんでいただければ幸いです。
撮影スタッフはバフィン島ウォーカー・シタデルのクライミングを扱った前作「極北の大岩壁」撮影時とほぼ同じ陣容です。カメラマンに関して言えばNHK山岳班と山岳班の山岳研修講師でもある僕の意地をかけた映像と言えるのかもしれません。撮影チームばかりではなく、構成を考えるPD、登攀中の音の収録に力を振るった音声、国内で作業した編集や音楽や番組のナレーションを担当した方々も含め、この番組の製作に携わった人たちの思いをこめた渾身の力作になっていることと思います。ぜひご覧ください。
今思い返すと、いい番組を作りたい――。僕自身がそういう思いでこの岩壁を登っていたのだということをひしひしと感じます。何がすごいといってこれほどすごい番組製作チームはないでしょう。実際に装備食料の荷上げまで手伝って直接撮影に関わった方々はもちろん、裏方で製作に当たった方々のためにも前作同様何か国際的な賞が取れるといいと思います。賞は番組作りを支えたそうした影の功労者のためにあるのだと思えます。
関連本:番組取材記1月31日発売
「白夜の大岩壁に挑む 〜クライマー山野井夫妻〜」/NHK取材班/1680円(税込)/(NHK出版)映像を編集するに当たって僕は今回の登攀ルートのルート図を書いたのですが、そのルート図は山野井泰史さんの修正意見も加えてこの本に掲載する予定です。山野井ファンには必見の本だと思います。「木本さんのこともたくさん書いた」という話ですが、どんなことが書かれているのか内容まではわかりません。いずれこの作品のDVD(2008/5/23発売予定)も売り出されることと思います。楽しみにしていてください。
僕がこの登山を本に起こせばこのHPの一連の記事に書いた通り、これとはまた多少違った内容になるでしょうが、登山は立場によっていろんな見方があるものです。そうした見方がまた登山者本人の力を認識させ、次の登攀へと向かう原動力となって行きます。この登山は、登攀終了後一年半、また初放送後一年を過ぎ、徐々に閉じていたこのHPもさらに閉じ、関連ページの大多数を閉じることにします。登山の内容は上記関連本をご参照ください。来年2009年2月からはNHKオンデマンドでこの番組を視聴できるようになります。機会があればご覧ください。番組の制作に関わった者の1人として、できるだけ多くの方にこの番組を視聴いただければこんなにうれしいことはありません。
ハイビジョン特集(白夜の大岩壁に挑む) グリーンランド・白夜の大岩壁<オルカ初登頂> メール contact
山野井泰史・妙子プロフィール 木本哲プロフィール
「夫婦で挑んだ白夜の大岩壁」の内容を補完する資料しぶとい山ヤになるために=山岳雑誌「岳人」に好評連載中自己紹介(木本哲登山および登攀歴)
木本哲プロフィール(「白夜の大岩壁・オルカ初登頂」のページから)
僕のビッグ・ウォール・クライミング小史
Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)
Greenland=東海岸の岩場について情報をお持ちでしたらお寄せください。ご意見もこちらで承ります。
このテーマの一般公開は終了しています。現在は下記青太字ページのみ公開しています。関連本はNHK出版から1月31日発売予定。
プロローグ トレーニング風景 コース取り メンバープロフィール 登攀の模様 エピローグ HV特集 Nスペ
>2>3>4>5>6>7>8>9>10>11>12>13>14>15>16>17
Explorer Spirit 木本哲
Copyright ©2005