Explorer Spirit 学術研究 河口慧海の日記 河口慧海・チベットへの道 海外の山 木本哲の世界
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Kimoto Satoshi Alpine Climbing School
もうじき講談社学術文庫から河口慧海の日記が発売される。河口慧海という人物に興味があればチベット旅行記とあわせて読んでみるといい。河口慧海を探検家、冒険家として捉えるならこれほど無鉄砲な人はいないかもしれない。ところが、チベット旅行記を読むと、彼は目的を成就させるためにどうしたらいいのか真剣に考えていることがわかる。仏教者だからこそ、そこから離れられず、我を忘れて施しをするあまり身元が明らかになってしまうこともたびたびあるが、それはそれでそれほど頓着していないように思える。そのおかげで多くの協力者を得ている。それが鎖国していたラサにあまたの仏教者を抑えて一番乗りを果たした大きな理由でもあるのだろう。ラサに向かう途中、行く先々で現地の様子を詳しく調べ上げているが、それが海外の探検家をも認めさせる結果をもたらしている。それはまた当時の庶民生活を描き、貴重な民俗学的資料ともなっている。チベット旅行記の原本とも言える日記が公開される意義は大きい。
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『河口慧海日記 ヒマラヤ・チベットの旅』(河口慧海 奥山直司編)が講談社学術文庫から発売されました。数回にわたる僕たちの学術登山を活かした本です。河口慧海がネパールからチベットへ越境し、カイラスを回ってラサに入るまでの日記行動を河口慧海の日記と学術登山で得た情報を基に最新の解説を施しています。
『河口慧海日記 ヒマラヤ・チベットの旅』(河口慧海 奥山直司編)目次
はしがき
第一部 河口慧海日記
第二部 一 日記に基づくヒマラヤ・チベットの旅
二 河口慧海の人と業績
三 伯父河口慧海の思い出
あとがき慧海の旅行記は世に驚愕の渦を巻き起こしてきた。当時、厳重な鎖国政策を採る禁断の地への単独潜入。経典の原典を求めて、過酷なヒマラヤ越えを敢行し、秘密のベールに包まれたチベットの実情を紹介した。砂嵐に耐え、飢えに苦しみ、強盗に遭い、大河で溺れる。本書は近年発見されたチベット行の日記を全文掲載し、丁寧な注釈と解説を施す。また、姪の追想録も付す。(裏表紙より)
講談社学術文庫1819 定価 本体 1050円
講談社学術文庫にはこのほかに『チベット旅行記(1〜5)』、『第二回チベット旅行記』という6冊の河口慧海関係の本があります。また、国立民俗学博物館友の会の機関誌『季刊民俗学(通巻119号)』にも河口慧海の特集があります。この号は誰でも手に入れることができます。
Explorer Spirit 木本哲
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