長崎被爆者の細胞でプルトニウム確認 内部被曝解明に道
長崎原爆で被爆し間もなく亡くなった犠牲者の細胞内から、原爆の材料となったプルトニウムが確認された。長崎大学の原爆後障害医療研究施設(原研)の七條和子助教らのグループが研究していた。現在も放射線を出しており、被爆地に降った「死の灰」(放射性降下物)などが呼吸や飲食によって体内に取り込まれたために引き起こされる「内部被曝(ひばく)」の実態や影響の解明につながる発見として注目される。研究では、爆心地から0.5〜1キロ地点で被爆し、外傷や放射線障害によって1945年のうちに亡くなった男女7人の組織標本を調べた。日米の研究者が解剖後に肺や肝臓、腎臓、骨から取り出し、原研に保管されていた。乳剤を組織に塗り、細胞から出ている放射線の軌跡を撮影して分析。発生源がプルトニウムだとつきとめた。細胞内のプルトニウムは被爆から64年がたった現在も放射線を出し続けている。だが原研のグループによると、生存する被爆者が吸い込むなどした放射性物質は大半が代謝などで排出されているという。七條助教は「内部被曝は未知の部分が多い。この発見が解明につながれば」と話している。(波多野陽)