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山の遭難 生きた、還った セルフレスキューの秘訣(東京新聞出版局) 「白馬岳主稜で突然落雷、失神」
この本は山で死ぬかもしれないというような危険な目に実際にあった人が自ら筆を起こして書き上げたものに、そうした場合どんな対処をしたらいいのか付け加えて成り立っています。僕は白馬岳主稜の登攀で体験した落雷事故について書きました。落雷の事故はほんの一瞬で生死が決まるので、死そのものは何の苦もなく訪れることがわかります。自分の登山をよくよく振り返ってみると、クレバス転落、雪崩遭遇(僕は生きぬいたがパートナーは死亡)、人里離れた山奥での虫垂炎(死を覚悟して時を過ごすせつなさを味わった。助かったのはちょっとした偶然にすぎない)、登攀中の肋骨骨折(皆はすでに登攀続行を諦めていたので諦めてもよかったのだが、なんとか奮い立たせてルートは完登した)、高度障害外に陥ったメンバーに付き添って不慮の高所ビバーク(凍傷になり両足指を切断した)、落雷による失神、他人のために自らの命をかけて高度差1000メートルの岩壁を登らなければならない展開の予想がつかない救出行などなど、およそ考えられる山で遭遇する危険な目にはほとんど遭っています。この本より僕自身の人生の方が「生きた、還った」を実践しているかもしれないけど、遭難について考えるのは面白いものです。
巷では、僕は山学同志会が活気を呈していたころの生き残りのように思われているようですが、知り合いの登山家が何十人も死んでいったことを振り返ると、確かに今も生きているのが不思議なくらいに思えます。周りの状況を見ると、アルパインクライマーはもちろんアルピニストさえ何人も死んでいるのですから、アルパインクライマーとしてより多くの危険を包含するルートを登り続けながらも今日まで生き抜いていること自体が稀有であり、けっこう大変なことなのだと理解できます。でもまだ現役でもっと登りたいと思っているんだけどね。いずれにしても遭難事故を真摯な態度で捉え、自分の問題として考えてみることは重要です。そこから何を受け取るかは人さまざまでしょうが、この本は当事者が実例から書き起こしたものだけに一読の価値があります。「山の遭難 生きた、還った」目次
長い間登山をやっているといろんなことを経験する。しかもやっている内容がハイキングから冬山、さらに高所登山、高所でのクライミングと広範囲だから危険に接している機会も内容の多様さも盛りだくさんだ。国内のクライマーの中でもこういった経験の多さはダントツかもしれない。
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