Explorer Spirit 雑感 春2009-5 匹夫の思惟 木本哲の世界 アルパインガイド アルパインクライマー Satoshi Kimoto's World
木本哲ホームページExplorer Spiritようこそ / Welcome to Kimoto Satoshi's website Explorer Spirit スクール 企画ガイド
Explorer Spirit 木本哲

雑感・春 12
12345

Explorer Spirit  Kimoto  Satoshi  Alpine Climbing School
木本哲アルパインクライミングスクール無雪期積雪期企画ガイド個人ガイド海外プラン机上講習
募集案内と参加お申し込み注意事項  ガイド山行のお問い合わせとお申し込み  メール contact
トップページ top page  目次 content  ワールドマップ world map  ウェブサイトご利用上の注意 cautions on use
ガイドプラン  木本哲 プロフィール profile
   アルパインクライマーが描く夢  巻頭エッセイ  読み物 readings  リンク links

   


遅ればせながら春が来たようである。どこに? それはグリーンランド出発直前に傷めた膝にである。湯治と温浴リハビリがようやく功を奏してきたようだ。願わくはこの傾向が本物ならいいのだけど……。一年前とは明らかに感じが違うのが嬉しい。

朝トレをというので、久しぶりに天王岩に行って岩を登った。実際、膝を壊して以来天王岩でまともに岩登りをしたのは一年と七、八ヶ月ぶりのことかもしれない。もしや一年十ヶ月ぶりかな? が、岩を登ってみたところ膝にあまり違和感を感じなかった。クラックジョイ、勉太郎音頭、始祖鳥、ビルバーナ、八月革命……。まだ膝にひねりを加えるとまずいのでどこに行ってもたいがい5.10くらいまででやめていたのだか、久しぶりに5.11に触ってみた。何となく登れそうな気がしたからだが、昨年の甲府幕岩スパイラルリーフ以来の5.11の試し登りだった。そのときよりはずっと膝が使えるようになっていた。これらは皆マスタースタイルのクライミングだけど、最近は膝のリハビリ中心の運動しかしていなくて、これといってクライミングのためのトレーニングは何もしていなかったのだ。だけど、その割には登れるやんけ……。そんなふうに思った。でも、さすがにフリークライミングのためのトレーニングをしていないだけに手や腕に引き付ける力がない。六本目のクライミングであった八月革命はあえなく三本目のピンにテンションをかけてしまったが、一休みして続きを登る。しかし、核心は問題なく越えることができても、指先の力がなさ過ぎて、四本目のピンにクリップする態勢を維持できないし、また、クリップをする根性もない。この現状ではしようがないとは思うが、先は明るい。トレーニングをすれば八月革命もすぐにリードして登ることができるだろう。これを機にリハビリとトレーニングを同時に進めることにしよう。

*

書評  クライマーの山野井泰史は、カナダのバフィン島のビッグウォールや、ヒマラヤ八千メートル峰の未開拓ルートなど、無酸素、単独で……この処女峰には、チームの力を高めるためにクライマーの木本哲が加わることに。彼も凍傷で足の指全部をなくしている。…… http://www.worldtimes.co.jp/syohyou/bk080302-4.html-25k-関連ページ

上記文章を読んでいたら、文章自体は全然変ではないのだけど、なんだか間抜けな文章だなと思ってしまった。チームの力を高めるために同じような境遇の障害者に参加を求めるだろうか――。まともに考えたら、普通の人間ならそんなことは絶対にしないだろうなと思える。こう考えると何だか強い信頼関係がないと成り立ちそうにない話だから話の持って行き方としてはいいかもしれない。が、残念ながら僕には、もちろん山野井夫妻にもその心当たりはないだろう。だって今までアルパインルートを一緒に登ったことなどないからなあ。同じ登りにいくならよく知っている人と行きたかったろうな、と思ってしまう。でも、登攀の番組だから、この三人がクライミングチームとしてまとまった話がないと番組が成り立たない……。

*

平日とはいえ新緑の時期かつ週末を控えた時期にしてはやけに車が少ないなと思ったら、上高地公園線は下山する人は通すが、入山は認めないという具合で、落石死傷事故のために全面通行止めとなっていた。同じような日程で上高地に入ろうとしていた絵描きさんからその事実を沢渡で聞いて僕は面食らった。通行止めの原因は落石による事故で一人死亡、一人けがだと聞いたが、沢渡ではその事実を確認するのも難しい。が、よく見ると下山者にインタビューしている記者の姿があった。上高地公園線は落石への対策が整わないと全面開通は難しいだろうと思えるし、今朝方の話では落石対策を施すにも時間がかかるようだから、とりあえず今日の入山は難しいだろうということはすぐにわかった。天候が下り坂だからいつ開通するかわからないものをここで待って日を潰すわけにもいかない。今日入山できなければ週末は天気が悪いから登山成功の可能性はゼロになる。さてどうしたものだろう。とはいえ上高地への入山はもはや諦めるより仕方がないというのが実情だ。その代案として考えられる山は……。

結局、登ったことがある山に登ってもしようがないからあれこれ考えた挙句の果て錫杖岳を登りに行くことにする。行動は現地に行って残雪の状況を見て考えようということにする。幸いに雪は少ないが、岩を登るならクライミングシューズが必要だ。登山靴でも登れる僕には問題はないが、普通の人はクライミングシューズがなければにっちもさっちもいかない。が、幸いに僕のクライミングシューズが履けるようだから、これを使ってもらって僕は5.10(ファイブテン)のアプローチシューズを使って登ることにしよう。ということで、翌日は左方カンテを登ることにする。勝負はおそらく午前中だろう。午後は雨に違いない。

雪山の登攀とビバーク訓練はできなかったが、天気は予想通りで、岩は無事登ることができた。 岩を登るのが早いって? 昔からスピードクライマーだし、しゃきしゃきのアルパインクライマーだからなあ。山はまだショウジョウバカマの時期だったが、麓の新緑はとてもきれいだった。トチノキやカツラってこんなにきれいだったっけか。春はいいなあ。突然の落石事故で当初の計画は潰れたけど、なかなかいいリカバリー山行だったかもしれない。 上高地へのゲートは22日ごろに開くそうだ。

*

新型(豚)インフルエンザは予想外の広がりを見せていると考えるかもしれないが、やはり想像通りの広がりを見せているというべきなのだろう。新型インフルエンザと確定した国内感染者は130人を越えたそうだ。メキシコで発生した豚インフルエンザの患者の状態をメキシコ当局が分析したところ、このインフルエンザは他のインフルエンザとの相乗効果で重症化するという調査結果がでているので、新型インフルエンザは罹患しても軽症だと考えるのは過ちのようである。また老齢者より若年者の方がかかりやすいという報告もあるし、基礎疾患、慢性疾患がある人は重症化しやすいという報告もある。しかも、今はインフルエンザの時期ではないことを考えるとこのインフルエンザは感染力が強いと言えるようだ。注意するに越したことはないだろうが、来るべき冬のインフルエンザシーズンには本当に猛威を振るうかもしれない。このときに鳥インフルエンザも発生したとしたらそうとう厳しい状況になりそうだ。実際、そうならないとも限らない状況だから恐ろしいことだ。今後の拡大をどう抑えるか注目されるところだが、日本国内の新型インフルエンザの発生、および拡大のスピードはかなり早いように思える。このインフルエンザは発症して四、五日目に重症化する例が多いらしい。が、死者は感染者の0.4%あまりで少ない。

*

岳人6月号の山本一夫さんの備忘録はなかなかいい。もともと「遺言」なのだから、実際、言いたいことを言っておいた方がいいに決まっている。山本さんの言うように、安全と危険は紙一重だが、個人山行とガイド山行はまったく異なる。そのところをしっかり把握しておかねばならないのは確かなことだし、ガイドとガイドの間に大きな技術や経験の差があるのも確かなことだ。経験の差が事故に結びつくのは嘆かわしいことだなどといっている余裕などない。こればかりはすぐに是正しなければならないことだろう。カランカやカメットの登攀がピオレドールに輝いたようだが、世界最高峰エベレスト登頂が一番という趣が強い日本国内でその価値を認めさせるのは難しいだろう。だが、それはやらねばならないことだ。現代アルピニズムのプロファイルは相変わらず面白い。今月はデニス・ウルブコ著マカルー冬季初登頂だ。それまでの登山や登攀とあわせて考えるとやはり刺激的な 内容だ。こんな記事を読んでいると年甲斐もなく血湧き心躍るからいやになっちまう。

*

危険運転致死罪の適用で懲役20年(求刑は25年)の判決が言い渡された福岡高裁の判決は議論を巻き起こしているようだが、酒を飲む人間としてはこれは仕方ない判決だと思う。実際、酩酊状態なら車を運転するのが危険なことは誰だって分かるだろう。一瞬の判断が生死を決する状況で飲酒の影響があれば判断が遅れることは確かなことであるし、そんな状態で車を運転することがどんなに危険なことかも容易に想像できるからだ。この裁判は最高裁に上告されたので判決の決定は少し先延ばしになったが、将来ある子ども三人の命を思うと懲役20年が決して重い刑だとは思えない。飲んだら乗るな、飲むなら乗るな、は酒飲みの鉄則だ。

*

沖縄・奄美地方が入梅したそうだ。西から雨の季節に入っていく。5/18入梅。湿度が上がれば新型インフルエンザとはおさらばだと思うのだが、その前に関東に到来するだろうか。そう思っていたら、関西だけではなく東京近郊でも発症した。濃厚接触者が多数いるようだからことによると急激に広がりそうだ。それも日本各地に。

*

細かい筋肉を地道に鍛えるというのは大変なことで、実際のところこれがけっこう疲れる作業なんだよな。まあいいやと思って手を抜けばこれまただめだしな。傷んだ筋肉に多少変化が現れてきたのでちょっと無茶をやってみるかな? そんな気にさせるくらい実際元気になってきた。ちょっと無理できるようになるとこれまたどんどん強くなるのだが、これは肉体も精神も同じだ。ところで、伸展筋を鍛えるというのはいいが、ごっつう力が要るやんけ。これまた捕縄に疲れるリハビリかつトレーニングだ。こんなんで岩登りができるようになるんですか――。そんな質問を浴びせたくなるところだが、これがなるんだな。体がそう言っているのが分かるから面白いものだ。どうやら超回復しそうな気配だ。

*

竹内洋丘さんはローツェに登って これで8000メートル峰12座登頂。残りもやさしい山だから14座登頂は大丈夫だろう。でも、頑張っているよなあ。これから先、日本は雨が多くなるし、湿度も高くなる。汗をかくにはちょうどいい時期だから熱中症に注意しながら体重を絞るかな。体重を減らすのはクライミングにも膝にも大きな効果があるからなあ。室内トレーニングとあわせてちょっとやってみるか……。この際ついでに心肺機能も鍛えることにしよう。そんなこんなでだんだんリハビリからトレーニングへと変貌しそうな勢いだ。

 

9596979899100101102103104105106107108109110111112113114115116117

このページのトップに戻る

Google

Explorer Spirit 木本哲
to a top page トップページへ


to a contents もくじへ


E-mail メール

OFFICIAL WEBSITE OF ALPINE CLIMBER SATOSHI KIMOTO


Explorer Spirit 木本哲
Copyright 
©2005
-       Kimoto Satoshi  All Rights Reserved.
本ウェブサイト内のコンテンツの著作権は木本哲に属します。本ウェブサイト内に掲載の記事・写真・図版・映像などの一切の無断転載を禁じます。

トップ目次プロフィール国内登山海外登山著書・著作ガイド登山&登攀映像&撮影ガイド登山
スクール無雪期積雪期企画ガイド個人ガイド海外プランイベント&直前情報装備表日本の山
自然教室登山教室岩登り教室沢登り教室アイス教室登攀専科夢工房インドア講習
机上講習
募集案内と参加お申し込み注意事項ガイド山行のお問い合わせ・お申し込み
お問い合わせ窓口(E-mail)
近郊の山と沢近郊の岩場周辺の山
周辺の沢氷雪テクニックギアウエア生と死お便りリンク
読み物トピックスコラムエッセイフォト&エッセイフォトギャラリーサイトマップワールドマップ
 雑記帳会員募集スポンサー募集バナー広告募集スポンサー&バナー広告お問い合わせ
協賛